その後貴方と平岡との関係は別に変りはありませんか 能く解りましたわ。 　一仕切経つと、発作は次第に収まった。 それが君の手際で出来るかい 然し三千代は全く知らぬ顔をしていた。 彼自身さえ、この二つの非難の何れかを聞いた時、そうかも知れないと、腹の中で首を捩らぬ訳には行かなかった。 そんな事を為る気なら始めから心配をしやしない。 矛盾かも知れない。 しかし家の中の様子はまるで分らなかった。 平岡は寧ろ驚ろいて医者を迎えた。 　所へ門野が来て、御客さまですと知らせたなり、入口に立って、驚ろいた様に代助を見た。 三年前三千代と平岡の間に立って斡旋の労を取った事を追想するとまるで夢の様であった。 雨上りで谷中の下は道が悪かった。 それが二尺余になっても、まだ尽きる気色はなかった。